今回は、その続編とも言える新しい動きについて、ブログ「毎日、Melスクリプトの勉強!!」のMelonさんから翻訳のリクエストを頂きましたのでご紹介したいと思います。
Melonさんによると、これは、まさにLA Timesの記事のその後の流れを汲んだ、カリフォルニアの新しい動きで、同様の活動がいたる所で起きている様です。
この活動自体の是非はともかく、カリフォルニアだけに留まらず、この先の世界的なVFX業界の流れがどうなっていくのかを考えた時に、参考になる記事の一つではないかと思います。
それでは、始めましょう。
元記事リンク:VFX Soldier "Help Bring Back Lost VFX Work To The US"
「失われたVFX仕事を再びアメリカに!」
VFXアーティスト、そしてプロデューサの皆様、今こそ互いに助けあう時です。
この数年、アメリカ国内でVFXの仕事に従事してきた私達は、見逃すことの出来ない量の仕事が海外に流れ出ていくのを見てきました。
アメリカ国内の多くのスタジオは、これがカナダ、UK、ニュージーランド、そしてシンガポールの政府による各種の助成金に寄るものだと指摘しています。
そして、私はこれらの助成金が国際貿易協定に違反しており、訴状を提出するに値するものと信じています。
The Problems Caused By Subsidies
助成金による問題点
これら助成金の多くは、対象国内で発生したVFX仕事の15%から50%を補償するものです。つまり、対象国内にVFX仕事を1ドル分させる毎に、アメリカの映画制作会社は15セントから50セントをその国の政府からもらえるのと同じ事です。
最近のLA TimesやHollywood Reorterの記事にあったように、これら助成金は多大な損害をカリフォルニアのVFX会社に与えました。多くのアメリカのスタジオは、彼らのクライアントが海外の助成金を得られるように、海外に支局を作らざるを得なくなりました。そして、こういった大きな事業に乗り出すことの出来ないスタジオは、閉鎖に追い込まれ、その他の中小サイズのスタジオは、ビジネスが立ち行かず、経費を減らされ、アメリカで働く従業員に悪影響を与えています。
現在、たくさんのVFX仕事が消滅し、まだ残っている幾つかの仕事でも、契約かプロジェクトベースの仕事が殆んどです。たくさんのスタジオが、従業員の健康保険や失業保険の打ち切りを余儀なくされ、また、談合、低賃金/無賃金、サービス残業、税金を控除するための意図的なフリーランス契約違反などの違法な手段に手を染めざるを得なくなっています。
私は、夜な夜な多くの時間を費やし、これら業界の問題についてリサーチを重ね、私自身の理解と共に、その結果をここに公開することにしました。
そして私がその結果発見したことは、アメリカとその他対象国との間に締結されている助成金の協定は、過去に定められた国際貿易協定に基づいているという事です。
つまり、アメリカ貿易法の専門家に依ると、アメリカのスタジオと海外の助成金対象国との間に交わされているVFXに関する協定は、現行の貿易協定に違反している可能性がある、という事です。
How You Can Help
では、どうすれば?
私は、VFX業界を代表する団体の責任者のみが、この助成金問題を国会に対して意見することが出来ると思い込んでいました。
しかし、"Winston Smith"という名の、ある活発なコメンターの方が、「そんなことはない」と指摘してくれました。
そして、どうやら誰にでも非常に簡単に提訴することが出来るということが分かってきました。
今回は、そのプロセスの進め方についてのガイドをしてみたいと思います。
もし、あなたが私の意見に同意してくれるのなら、ここ数年に渡ってアメリカから失われた仕事を取り戻すキャンペーン活動を、共に戦っていきましょう。
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以下、具体的な提訴の方法が続きますが、当ブログの趣旨に合わないので割愛
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What Could Be A Solution?
解決策になりえるものは?
もし、アメリカ貿易局がこの映画助成金は現行の国際貿易法に違反する物であると認めれば、彼らは対象国とこの問題について協議に入るでしょう。
そうすれば、対象国の助成金は残るにしても、アメリカの映画制作会社にかかる税控除額とのバランスが改めて検討されるというシナリオもあり得ます。
例えて言うならば、たとえあなたがより安く物を仕入れるために海外に買い物に行ったとしても、結局関税で高い税金をかけられ、同じ額になってしまう、という事と似ています。
What About Domestic State Subsidies?
アメリカ国内での助成金はどうなる?
もし、これら海外の助成金がWTO(*世界貿易機構?)の助成金協定違反だった場合、アメリカ国内の幾つかの州で施行されているの助成金はどうなのでしょうか?
例えば、州の映画助成金制度のあるNew York, New MexicoそしてFlorida州の人々も、助成金協定違反になるのでしょうか?
それは無いと思いますが、この問題はアメリカ貿易弁護士や、このサイトに回答が出ています。
つまり、VFX仕事の、アメリカ国内の州と州の間での仕事の行き来に関する協定は存在しません。
しかしながら、WTOによる協定では、ほとんどの国が、助成金によって他国から仕事を引き寄せる事を*禁止しています。
(訳者注 *ここではprevent(避ける)という言葉が使われており、本当に「禁止」という強い意味で使われているのかは、元記事からは分かりませんでした。)
アメリカの6大映画製作会社は全てLos Angelesを拠点としているだけでなく、アメリカのVFX会社の殆んどは助成金制度のないカリフォルニアに集中しており、助成金対象国の国々が、カリフォルニア以外の州の仕事を狙うことは無いでしょう。
推測するに、たとえ、彼らがNew MexicoやFloridaの助成金を廃絶しても、それは、カリフォルニアの立場を大きくする事以外の何物でもないでしょう。
事実、海外助成金制度の廃絶は、その対象国、例えばニュージランドが、アメリカの6大製作会社の下請けとしてではなく、自国の映画産業の為にそのお金を投資する可能性を開くものでしょう。
実際に、UKのスタジオは最近、我々はもうそれほど助成金制度には頼ってはいない、なぜなら、私達の仕事のクオリティ自体が上がっているからだ、というコメントを出しました。
私は、ここに提示した是正すべき問題は、海外のスタジオを閉鎖に追い込むものではなく、単に各国の各スタジオ間の競争をより平等なものにバランスしなおすものであると思っています。
Doing The Impossible
不可能を可能に!
先週行われたVESアワードの授賞式で、Visionary Awardを受賞したクリストファー・ノーラン監督は壇上でこう言いました。
「私は、全てのVFXアーティストが、不可能を可能にする事に誇りを持っている事を知っています。しかし、私は、理不尽な要求にはNoと言える人達を応援します。」
この活動で私がお願いしていることは、多くの人に「そんなの無理だよ」とあざ笑われる様な事かもしれません。しかし、誰が確信を持ってそんな風に言えるでしょうか?
確かに、そう言う彼らは間違っていないかもしれない、しかし、私達VFXアーティストは、「不可能を可能にする」仕事を信じてこの業界に入ってきたのではなかったでしょうか?
私はもう一度全ての人に、海外の助成金制度が決して妥当ではない事の訴状をアメリカ貿易局に訴える事のサポートをここにお願いします。
VFXの兵士たちよ、今こそ立ち上がろう。
(記事終り)
上記はVFXSoliderというブログの記事で、情報提供者のMelonさんによる解説によると、
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(事の)発端は、2010年2月5日 フィルムメーカー「Lee Stranahan」氏がこの業界の不公平な現状を訴えた
「Open Letter To James Cameron: Fairness For Visual Effects Artists」です。
これは、現状に不満を持っている人が多かったので、大きな反響があり、著名な業界人が集まり「VFXギルド設立と業界の体質改善」を話し合うためのミーティングも催されました。
現在では、このVFXギルド、業界体質改善を訴える活動家は増え、公式にギルド設立の動きもでてきていますが、VFXSoliderはこの流れから生まれてきた個人活動家の一人です。
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という事です。
僕個人としては、折角流れ始めた世界的なVFXの仕事の広がりを止めることにもなりかねない活動だという気がしています。
上記の記事の中にあるHollywood Reporter記事も、コチラでMelonさんの手によって和訳されていますので、ご覧になってみてください。
*当ブログでは、英語のニュース記事やメイキング等の翻訳希望を受け付けています。
翻訳して欲しい記事等があればURLを明記の上、このブログのメッセージボックスにご投稿下さい。
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